ルール改正に伴い、R-1グランプリ2021への出場資格を失った多くのピン芸人たち。
行き場を失った彼らを救うために作られた、新たな賞レースが「Be-1グランプリ」なのです。
今回DKOでは、「Beー1グランプリ」を立ち上げた、漫才コンビ「うすくら屋」のシュースケさんにインタビューを行いました。
前編では、「Beー1グランプリ」を開催しようと思った理由や、賞レースの作り方を聞きましたが、いろんな人たちに相談をし、意見を聞き、支援を募り、アプローチするといった、泥臭い活動に手を抜かない様子にはただただ敬服するばかり。
後編では、豪華な審査員を集めた話、Be-1グランプリをどうしても今年やりたかった理由を聞きます。
審査員は元R-1王者に有名放送作家! 賞金は50万円! どうしても本格的な賞レースにしたかった理由
レイ
決勝の審査員は、どんな方にオファーしたんですか?
シュースケ
いろいろな方にオファーさせて頂いているんですが、決まっているのは、やまもとまさみさん(R-1ぐらんぷり2014王者)、元祖爆笑王さん(めちゃイケなどを手掛けた放送作家)です。
レイ
すごい! 豪華ですね!
野口
R-1で優勝した人と、有名な放送作家さんに審査してもらえるのは芸人さんにとっても嬉しいことのような気がします。
シュースケ
でも、出場しないっていう先輩方も多くいらっしゃいます。
野口
そうなんですか?
シュースケ
R-1ぐらんぷりは優勝賞金が500万円で、たくさんの業界関係者が見てるっていう“特大なボーナス”があるから頑張るわけじゃないですか?
レイ
そうですね。人生変わる人が多いですし。
シュースケ
どのくらいの規模かも分からない、出来立ての大会には振り向いてもらえないんですよね。
それを言われて、僕も「確かにそうだな」と思いました。
野口
確かに、一理ありますけどね。
シュースケ
だから、出場することで「得をしてもらわなきゃ!」と思ったんです。
野口
それで有名な方々に審査員をお願いしたんですね。「出場者が得をする」状況を作ろうと。
レイ
業界関係者や有名な芸人さんに認めてもらえれば、仕事に繋がる可能性もありますからね。
シュースケ
はい。ちなみに、最初に審査員をお願いしたのはナイツの塙さんなんですよ。
レイ
すごい! M-1の審査員!
シュースケ
残念ながらスケジュールの関係で難しかったんですが。
野口
お忙しいでしょうしね。でも、塙さんにオファーするとはすごい行動力ですね。いくら同じ漫才協会に所属しているとはいえ(笑)
シュースケ
R-1の出場資格を失った先輩方には、面白い芸をお持ちの方が多いので、少しでも売れるためのアピールの場になればと思ったんです。後輩の僕が言うのもおこがましいんですが。
レイ
面白い先輩方に、日の目を見てほしいという気持ち故の行動だったんですね。
シュースケ
やっぱり、「参加してよかった」「得だった」「来年もやってくれ」という大会にしないとな、と思います。
野口
そういった面で言うと、優勝したらかなりの賞金も出るんですよね? それは大きな魅力だと思います。
シュースケ
10万円に、クラウドファンディングで集まった金額を足したものが※賞金になります。
※1月7日時点では賞金総額50万円
レイ
かなりの金額になりましたね! これは大きなモチベーションになるんじゃないでしょうか!
どうしても“今年”開催しなければならないと決意した理由
野口
もう1つ気になっている事があるんですけど…。
準決勝は東洋館で決勝は新宿角座で、予選もいろんな劇場を借りてやるじゃないですか? クラウドファンディングをやっているとはいえ、賞金や会場代に充てるわけですよね?
…お金エグくないですか?(笑)
シュースケ
エグいです(笑)確かにお金はかかるんですけど、「この賞レースはやらないとダメだ」っていう気持ちが最初に来たんです。
レイ
使命感!
シュースケ
あと、コロナの事もありますけど、“今年”やらないとダメだと思ったんです。
レイ
今年にこだわったのは何故ですか?
シュースケ
今、キングオブコントは芸歴関係なく出場できて、M-1は結成15年以内なら出場できるっていうルールじゃないですか?
もし「芸歴10年以内しか出場できない」というルールでR-1が盛り上がった場合、他の賞レースも、このルールに倣う気がしたんです。そうなると、芸歴11年以上のピン芸人は、さらに居場所がなくなるなと思ったんです。
レイ
なるほど。もし、キングオブコントもM-1も、芸歴10年以内というルールになったら、コンビを組んでも、即席ユニットでも出場できなくなりますもんね。
シュースケ
だから、2021年にBe-1を開催して、「これだけ面白いベテラン芸人がいるぞ」「ベテラン芸人はお笑い界に必要なんだ」「これだけ怒ってる人がいるぞ」という声を届けなくちゃいけないと思ったんです。
野口
あのルール変更に対する感情は“怒り”なんですか?
シュースケ
怒りもあるし、悲しみもありますね。虚しいじゃないですか、その怒りの声が届かないまま時代とともに消え去っていくっていう…。
レイ
いや~…確かに。そうですね。
シュースケ
それで辞めちゃってる芸人さんとかも知ってるんで…。そういうのが嫌だったんで、Be-1を始めたんでしょうね。
野口
なるほど…。難しい問題ですね。
シュースケさんが仰ることも分かりますし、若手にチャンスを与えてニュースターを生み出す大会にしたいという運営側の考えも分かりますし…。
実際、僕が仲良くしてる若手のピン芸人さんも、チャンスだと息巻いてましたから。
レイ
シュースケさんは、自分の考えに基づいて「やるしかない」とBe-1を始めたんですね。
「人のために行動を起こすタイプ」なんですね。
シュースケ
それもありますけど、第一は先輩が大好きなんです。
ご飯を奢ってくれたり、主催ライブに出演してくれたり、今までお世話になってきた先輩たちの元気がなくなるっていうのが嫌だったんです。
レイ
パワーを全部自分に使うっていうのもアリですけど、シュースケさんは先輩の力になりたいという気持ちが強いんですね。
野口
ちなみにエントリーされている芸人さんはどのくらいいるんですか?
シュースケ
約50人です。
レイ
すごい、大規模になりましたね!
野口
とはいえ、50人で賞金50万を争うわけですから、確率で言ったらかなりチャンスですよ(笑)
シュースケ
どの賞レースより夢あるかもしれないですね(笑)
長州小力さん、ロビンフットのおぐさん(R-1ぐらんぷりの決勝に2度進出)、野田ちゃんさん(おもしろ荘出演)、冷蔵庫マンさんなども出演してくださります。
レイ
豪華メンバーですね! いちお笑いファンとして普通に見に行きたいです!
野口
どこかがこの大会を買ってくれて、配信してくれるんじゃないですか?(笑)
シュースケ
そうなったらいいと思ってます! そのために、いろんな事を整備しなきゃなと思っていますし、だからこそ、第1回目の今年が大事なんです!
レイ
アピールの場にするために。
シュースケ
「こういう大会なんです」「ちゃんとした大会なんです」っていうプレゼンがなければ買ってくれないと思いますから。
レイ
最後に、Be-1グランプリの今後の展望を聞かせいただけますか?
シュースケ
第2回以降は、大阪のピン芸人さんも巻き込んで、大会を大きくできればなと思っています。と言っても知り合いがいないので、芸人仲間のツテをたどって、どうにか実現したいと考えています!
レイ
全国的な賞レースにすることを視野に入れているんですね! これは楽しみ!
野口
今日はありがとうございました!
Be-1グランプリ、僕たちも観に行かせてもらいます!
【取材を終えて】
R-1グランプリのルール変更には賛否両論がありました。
シュースケさんのような気骨のある方が「面白いベテラン芸人を見捨てるな」と声をあげ、行動を起こしているのは、1人のお笑いファンとして嬉しいですし、ワクワクします。
ただ、R-1グランプリの「出場者を芸歴10年以内にする」というルール変更も、一概に悪いこととは言えないはずです。これによって、ほぼ無名だけど面白い若手ピン芸人さんもチャンスを掴むことができます。そのことも、1人のお笑いファンとして嬉しいですし、ワクワクします。
R-1グランプリもBe-1グランプリも大いに賑わって、大成功してほしいと心から願います。
Be-1グランプリは、本日1回戦日程が終了し、2021年1月28日(木)、29日(金)には2回戦が開催されます。
そして2月上旬には準決勝、2月21日(日)の決勝戦で、第1回Be-1グランプリの優勝者が決まります!
この記事を読んで、興味が湧いた方は、ぜひ観に行ってみてください。
詳しい案内は、Be-1グランプリのホームページや、Twitterでご確認ください。
CAMPFIREでのクラウドファンディングも、2月20日(土)まで実施中。
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