R-1ぐらんぷりのルール改正(2021年大会からは芸歴10年以内)を受けて、実績のある大量のピン芸人たちが出場資格を失いました。
賛否両論を巻き起こしたこの発表の直後、出場資格を失ったピン芸人のために、芸歴11年以上の芸人に出場資格が与えられるピン芸の賞レース「Be-1グランプリ」が、お笑いコンビ「うすくら屋」のシュースケさんによって新たに生まれました。
※シュースケさんのインタビュー記事もありますので、こちらもぜひ!
【DKO人物奇譚 File.3】シュースケ(うすくら屋)
R-1グランプリから見放されたベテラン芸人のための賞レースを立ち上げた、名もなき若手芸人
<前編> <後編>
そして、去る2021年2月21日に行われたBe-1グランプリの決勝。
果たしてどんな大会だったのか?
今回は僕、野口が、簡単なライブレポートをお届けします!
Be-1グランプリ決勝戦! 審査員もMCも、個人主催とは思えないほどに贅沢!
決勝の舞台は東京都新宿にある「新宿角座」。
松竹芸能が所有する劇場なのですが、アクセスもよく、綺麗な劇場です。
格式のある劇場ということもあり、開演前から緊張感が漂っていました。
(角座はこんな感じ。写真は新宿角座公式Twitterより。)
さあ!いよいよ決勝の舞台が開演!
MCはお笑いコンビ「飛石連休」の藤井ペイジさんと、元「バクステ外神田一丁目」の野々原さやねさん。
男女ペアでのMCというところが、テレビでも放送される本格的な賞レースの雰囲気があっていいですよね!
さらに審査員も豪華!
R-1ぐらんぷり2009王者の中山功太さん、
R-1ぐらんぷり2014王者のやまもとまさみさん、
R-1ぐらんぷり2015王者のじゅんいちダビットソンさん、
放送作家で元お笑いコンビ「エレファントジョン」のガッテン森枝さん、
放送作家の元祖爆笑王さん、
さらにクラウドファンディングで審査員の枠を買ったという、
中小企業診断士でYoutuberでもあるマキノヤ先生さんという顔ぶれ!
審査員の紹介が終わったところで、ここで改めて
「Be-1のBeはBeing=存在、つまり、芸歴11年以上の芸人たちの、存在証明の場所」
という大会の企画意図が説明されます。
果たして、決勝にコマを進めたメンバーは、どのような芸で自分たちの存在を証明してくれるのでしょうか?
1月から始まった予選を勝ち抜いた顔ぶれは?
1回戦、2回戦、準決勝と熾烈な予選を勝ち抜き、決勝にコマを進めたのは、同日に行われた敗者復活戦から勝ち上がった3名を加えた以下の12人。
※ネタ披露順
※敬称略
ギャバホイ
シオマリアッチ(敗者復活戦3位)
インタレスティングたけし(敗者復活戦2位)
ふとっちょ☆カウボーイ
Gたかし
カトゥー
街裏ぴんく
ドッグ石橋
ふみつけ大将軍 小仲
おぐ
野田ちゃん
快児(敗者復活戦1位)
勉強中の放送作家の身である僕ごときが、ネタのことをあれこれ言うのはおこがましいので、個人的に面白いと思ったところなどを書いていきたいと思います。
【ギャバホイ】
ショートコントをどんどん見せていくというスタイルのギャバホイさん。僕の勉強不足で名前を存じ上げなかったのですが、めちゃくちゃ面白かったです!こんな面白いショートコントをする人がいたのかと驚きました。個人的に一番好きだったワードは「コブラツイストを中抜けしてきました」です。
TikTokとかでもバズりそうなネタでした。
【シオマリアッチ】
ボブ・マーリーの「Alalalala long」という曲に合わせて進めるリズムネタで勝負したシオマリアッチさん。
シオマリアッチさんといえばラップを使ったネタで知られていますが、今回もシオマリアッチさんのラップスキルが生かされたネタでとても面白かったです!
韻を踏みながら笑わせることにおいては芸人界でも屈指の存在だと思いました。
【インタレスティングたけし】
おどおどした喋り方が特徴のインタレスティングたけしさん。
その特徴と自虐ネタが非常にマッチしていて会場も大ウケ。
熾烈な敗者復活戦を勝ち上がってきたのも納得です。
ビートルズの「Let It Be」を歌ってあんなに爆笑をかっさらった人は後にも先にもインタレスティングたけしさんだけでしょう。
【ふとっちょ☆カウボーイ】
学生時代にあらびき団を見ていた僕にとっては大スターの登場です。僕の乏しい語彙力では面白さが伝えられないのですが、エヴァンデブオン(だったと思う…)が“デブにとっての敵”をATフィールドに見立てて破壊していき、叫ぶ…という、奇天烈でめちゃくちゃ面白いネタでした。
奇天烈なネタですが会場は笑いの渦に巻き込まれていました。
【Gたかし】
ハイレベルなモノマネで有名なGたかしさんは、2010年にはR-1ぐらんぷり決勝にも出場したことのある実力者。
「プロレスラー空耳列伝」というプロレスラーのモノマネと紙芝居を組み合わせたネタで、これも大ウケ。
プロレスファンの僕にはたまらないネタでした。前田日明さんのモノマネが上手すぎます!
モノマネのレベルが高く、しかもネタも面白い、唯一無二の芸人さんだなと思いました。
【カトゥー】
最近では片岡鶴太郎さんのモノマネでも有名なカトゥーさん。
自虐ネタを漫談形式で披露されたのですが、これがまぁウケるウケる!
カトゥーさんは芸歴25年の45歳だそうですが、なんというか人生が乗った自虐というか、リアリティがありすぎて面白いというか…。
自分が講師をやってるお笑い学校の生徒とバイト先が一緒とか、笑うに決まってるじゃないですか(笑)
【街裏ぴんく】
フィクションをノンフィクションのように喋る漫談で有名な街裏ぴんくさん。
今回のネタはざっくり言うと「離乳食を温めるバイト」の話だったのですが、嘘だと分かっているのに、妙なリアリティと卓越した話術のせいで、なんか信じそうになるんですよね(笑)。
もちろん会場も大ウケです。
個人的には街裏ぴんくさんの漫談は何時間でも聞いていられるな、と思うほど、面白いです。
【ドッグ石橋】
自作のアニメを使った斬新なピンネタでした。
モニターでアニメが流れていて、その中の登場人物の1人を横でドッグ石橋さんが演じます。
よく、音声と掛け合いをするピン芸人さんがいますが、その音声の代わりにアニメを使っている…と考えてもらえば分かりやすいかもしれません。
斬新なネタに客席も引き込まれ大ウケ。
同じフォーマットの違うネタも見たいと思う芸人さんでした。
【ふみつけ大将軍 小仲】
頭頂部がハゲているのにロン毛という、その強烈な見た目を生かしたネタでありながら、めちゃくちゃ練られているコントで会場は大爆笑。
こんな面白いネタをやる人なのにR-1の決勝に出たことないの?と驚いてしまうほど面白いネタでした。
審査員の中山功太さんも絶賛していらっしゃいました。
【おぐ】
R-1ぐらんぷりで3位に輝いたこともある実力者のおぐさん。
めちゃくちゃ面白いネタだったんですが、多方面で物議を醸しそうなネタだったなので詳細は割愛させてください(笑)
ただ、会場も大ウケのめちゃくちゃ面白いネタでしたし、おぐさんにしかできない、おぐさんがやるからこそ面白くなる他人にはマネできないネタだったと思います。
【野田ちゃん】
ぐるナイのおもしろ荘で知名度をあげ、今年ブレイクしそうな芸人の筆頭格である野田ちゃんさん。
カトゥーさんと同じく自虐ネタ。
こちらも人生が乗っかった自虐なので深みがすごいんですよ笑。
それを底抜けに明るく言われるので、めちゃくちゃ笑っちゃいます。
「最終的には国がなんとかしてくれるっしょ」がずっと僕の頭の中にこびりついています。
今年、このまま売れるんだろうなぁ…。
【快児】
エンタの神様にも出演していた快児さん。
日常のちょっと引っかかる「あるあるネタ」を披露したのですが、これが大ウケ。
世の中にはまだまだ使い古されてないあるあるがあるんだなぁと思いました。
確かに「商店街に新しく何かできるのか…」と思ったら接骨院なんですよね。
もう1本違うネタが見たいと思わされるネタでした。
全12人のネタが終わり審査員の採点で選ばれた上位3人が最終決戦に進出です!
最終決戦に進出したのは…
1位 野田ちゃん
2位 ギャバホイ
3位 ふみつけ大将軍 小仲
の3人!
この3人がもう1本ネタを披露して決選投票に移ります。
最終決戦でもこの3人は大爆笑をかっさらっていました!
優勝は、おもしろ荘で話題になったアノ人!?
そして、運命の決選投票。
審査員が1人1票ずつ「1番面白い」と思った芸人に投票します。
優勝したのは…野田ちゃん!
🎉🎉決勝戦も終わり「Be-1グランプリ2021」は無事、幕をおろしました🎉🎉
熱き闘いを制し、初代王者の栄光と賞金500,000円を手にしたのは…❓
👑エントリーナンバー60👑
🥇野田ちゃん🥇
(@nodakazuyasu)おめでとうございます🎊✨✨ pic.twitter.com/0ks2tyyXmt
— Be-1グランプリ2021 (@Be_1GP2021) February 22, 2021
全員面白かったので、審査員の皆さんも頭を悩ませていましたが、全員納得の優勝という印象でした。
野田ちゃんさんには賞金50万円が贈呈され、Be-1グランプリは大団円のうちに幕を閉じました。
2022年も開催する予定だそうなので、その際にはぜひ皆さんも見に行ってみてください。
【取材を終えて】
今回の感想はただ一つ「めちゃくちゃ面白かった」ということだけです。これほどずっと笑いっぱなしだったお笑いライブは久しぶりでした。
芸歴11年以上の芸人さんたちの存在と実力を見せつけられました。
そんなめちゃくちゃ面白いベテラン芸人さんたちが活躍できる場所を提供できるよう、1人の構成作家として頑張らなくてはいけないなと強く心に刻んだ1日でした。
そしてこんな素晴らしい大会を企画したシュースケさん、お疲れ様でした!
来年も楽しみにしています!
※記事内写真はBe-1グランプリ公式Twitterおよび主催者様よりいただきました
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